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長崎地方裁判所 昭和63年(わ)13号 判決 1988年3月10日

本籍

長崎県南高来郡西有家町長野二八四〇番地

住居

長崎市丸山町三番五号あじさいアパート二〇二号

飲食店経営

伯川又蔵

昭和一二年二月一〇日生

右の者に対する公務執行妨害被告事件について、当裁判所は、検察官飯島忠夫出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年に処する。

この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

押収してある刺身包丁一本(昭和六三年押第八号の1)を没収する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、長崎市船大工町二番四号所在の寿司店「奴寿司」を実質上経営している者であるが、所得税の申告に関しては妻伯川アサコをその経営者として青色申告の承認を受け、被告人をその事業専従者として届け出ているところ、昭和六三年一月一九日午後四時三〇分ころ、右「奴寿司」店内において、長崎税務署勤務大蔵事務官中岡建(当時二五歳)から、身分証明書及び所得・法人税に関する質問検査章を示された上、右伯川アサコに対する昭和六二年分所得の概況調査(簡易な調査)を受けていた際、右中岡建が店内にあった大学ノートに目をとめ、その記載内容について質問し始めるや、同人の言動に立腹し、店内にあった刺身包丁(昭和六三年押第八号の1)を手に取るなり、右概況調査の職務に従事していた同人に対し、右包丁の刃先を同人の腹部に突き当てて同人の生命、身体に危害を加えるかのような態度を示し、さらに、同人から取り返した大学ノートで同人の顔面を一回殴打するなどの脅迫、暴行を加え、もって同人の右概況調査の職務の執行を妨害したものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の司法警察員(六通)及び検察官に対する各供述調書

一  中岡建の司法警察員(二通)及び検察官に対する各供述調書

一  園田利保の検察官に対する供述調書

一  司法警察員作成の実況見分調書及び「公務執行妨害被害者の身分証明書及び所得・法人税に関する質問検査章の写真撮影について」と題する報告書

一  検察官作成の電話聴取書

一  押収してある刺身包丁一本(昭和六三年押第八号の1)

(法令の適用)

被告人の判示所為は刑法九五条一項に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予し、押収してある刺身包丁一本(昭和六三年押第八号の1)は判示の犯罪行為に供した物で、犯人である被告人以外の者に属しないから、同法一九条一項二号、二項を適用してこれを没収することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 永松昭次郎)

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